熟年離婚<年金分割制度を考えよう>
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離婚とは、
今まで築き上げてきたものを壊していく力、
そして新しい人生を踏み出していく力、
二重に重なる労力、エネルギーを必要とし、
また、相手に対し又は子供に対し情が絡むゆえ怨恨に繋がりやすく、乗り越えていくには長い時間と柔軟な対応、そして冷静な判断が必要です。
殊に熟年離婚となると、
その築き上げ蓄えられてきたものの大きさ、それを基礎として積み重ねられた家族社会への影響力、その家族との思い出からくる情の深さ、これから待ち受ける社会生活に対する不安等が複雑に絡み合い、とても一筋縄では解決付きません。
離婚を考えるにあたっての検証事項
1. 婚姻を継続しがたい重大な事由(婚姻関係の破綻)を認めてくれるかどうか
- 長年の耐え難い苦労だけでは婚姻関係の破綻にはならない
- 相手方が精神病とされ、その具体的治療方法、回復の見込みがなければ離婚は認められない
- 9年間別居していても婚姻関係の破綻とまではいいきれない
- 別居中同棲相手がいたとしても婚姻関係の破綻とまではいいきれない
2. 財産分与の基礎になる財産とその評価方法
(ア) 住宅の価格査定の方法
- 時価相当額か固定資産税評価額か
- 残りの住宅ローンの支払いはどうなるのか
- 離婚後の居住場所の確保できているか
- 夫婦が居住する建物敷地土地の評価、その建物はどうするのか
(イ) 将来取得すべき退職金
- 「支給されたときに2分の1を支払う」との定め方はよいか
- 支給されてから請求し、それを本当に取り戻せるかどうか
- 会社在籍期間が婚姻期間中かどうかによって減額もあり得る
- 公務員か、民間会社か、自営業か、またはその規模によって支給されるかどうか不安定なのでそれぞれの支給方法の定め方が異なってくる
(ウ) 今後の扶養、介護の問題
- 財産分与には今後の扶養的意味合いがある一方で、他に生活できる収入があるとして扶養請求は却下されることもある
- そもそも財産分与は資産の清算、離婚後の扶養、時には慰謝料を含め、すべてを総合的に判断して決められる場合が多いので、所得保障としての社会保障的意味合いの強い「離婚時年金分割制度」とは切り離して考えるべきである
平成19年4月1日「離婚時年金分割制度」が施行されました。
これを待って離婚しようと考えてみえたご夫婦、これがあるから離婚を考えようとするご夫婦、その方々にとって当事務所へのご相談が、一度立ち止まって冷静に考えて頂く機会になればよろしいかと思っています。