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離婚される前に、そして、離婚された後に、一度相談してみて下さい。
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離婚に関する法律用語解説

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裁判離婚 親権者 面接交渉 養育費 財産分与 慰謝料

裁判離婚

離婚件数(離婚推移グラフ)
離婚件数と離婚率の推移

世相及びそれに伴う価値観の変化により離婚件数が急激に伸びています。

しかし、ここ数年は離婚件数が減少傾向にあるようです。ただこれは「年金分割請求制度」をにらんで、低所得者層の増加による生活不安、さらなる経済情勢の悪化等の理由が考えられ、潜在的な離婚予備軍はまだまだ増加傾向にあると思われます。そして年間結婚件数719,822件と比較すると約3件に1件の割合で離婚していることになります。

協議離婚&裁判離婚の内訳
離婚の内訳

協議離婚が90%を占めて、さらに調停離婚9%まで含めると、ほとんどすべての離婚が、裁判以外の話合いによって解決されています。これは、話合いがととのわなかった場合、いきなり裁判ではなく、まず調停の手続を踏まなければいけないことと(調停前置主義※)、裁判に発展したとしても、お互いの主張を出し尽くし、論点が整理されたところでもう一度調停に行こうされることが多いからと思われます。

※家事審判法18条

【解説】 裁判離婚

離婚は、まず夫婦が向き合ってお互いのこれからの人生について話し合うことが必要です。

その中で、第三者に介入してもらった方がスムーズにいく場合もありますので、その話し合いの方法として家庭裁判所の調停の場をお借りすることもよろしいかと思います。


その話し合いの中でまとまった、離婚協議事項、調停事項等の細かい文言を決めるに当たって、「面接させる」或いは「面接することを認める」といった文言の違いによって後日の紛争を招く恐れのある場合もありますので、一度専門家にご相談されるとよいでしょう。


また、話し合いがまとまらなかった場合は裁判離婚となります。

夫婦共通の離婚の意思のない人たちに対して、裁判所が「離婚しなさい」と命令するわけですから、それなりの根拠に基づいた判断が必要となってきます。

そのための判断材料として、法律は次の5項目を限定的に規定しています(民法770条1項)。


  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき《重要》。

以上、5項目のどれかにあてはまらない限り、原則として離婚は成立しません。


ただ、人間の営み、殊に長年に亘る夫婦生活ともなれば、婚姻を継続できるのか、できないのか、綺麗さっぱり2つに分けられるわけではありません。


離婚の話し合いがまとまらなかった場合、すぐさま離婚の裁判に突入するのではなく、とにかく一服。最終的にお互いのよりよい人生のスタートになるよう一旦迂回してみるのがお勧めです。一度ご相談下さい。

親権者

子供は成年に達するまで、社会的に弱い立場にあるので、夫婦の共同親権によって守られています(民法818条1項)。そして、その両親が離婚してしまった場合、必ず父親か母親を親権者として定めなければならず、これを定めない限り離婚協議書も受理されませんし、裁判離婚も成立しません。


一般的に、離婚する夫婦がお互いにその子の親権にこだわる理由は、


  1. ただ漠然とした子供への依存
  2. 子供の氏の変更(民法791条1項及び3項)
  3. 子供を監護養育する権利・義務(=どこで育てて、どんな教育をするか)(民法820条)
  4. 子供の財産管理義務(民法824条)

と、思われます。


離婚を選択せざるを得ない状態であっても、子供たちのために無理にでも結婚生活を続けていくべきだ、とは思いません。それぞれの新しい人生を見つけてそれを子供に示してあげることも、親の役割ではないでしょうか。いずれ旅立っていく子供たちは、きっとそれに賛成してくれている筈です。


ですから今、親のエゴだけで、「権利」だの「義務」だの子供たちの立場を引っ掻き回すのは辞めてあげて下さい。親子は一生親子です。親権がなくて何か困ることがありますか。いっしょにゆっくり考えてみましょう。

面接交渉

わけあって離婚してしまった両親のうち、子供と生活を共にしていない一方の親が、子供と会う機会を面接交渉といいます(民法766条)。


これは、子供がこれから人格形成していく上で両親の愛情を受けながらそれを生活の拠り所として発達していく子供の権利である、と同時に、親が当然に抱く子供への愛情の行使であると、親と子両者の権利として面接交渉が認められる根拠としてます。


よって、面接交渉が認められたり、認められなかったり、親の愛情がどれ程のものなのか、それを基準に判断されていると思われます。


例えば次のように取り決めます。


面接回数 月2回
面接の日時 毎月第1日曜日 第3日曜日
面接方法 午前9時に親権者の自宅まで迎えに行く
午後5時に親権者の自宅まで送り届ける
その他詳細については子の意思を尊重し、その福祉に配慮しながら協議して決める(電話、手紙、アルバム作成、学校行事への参加、夏休みのお泊り旅行など、より具体的な取り決めもなおよろしいかと思います)

ただ、父母の対立葛藤が激しい場合、これがなかなか思うように決まりません。


たとえそれが決まっても実行されなかった場合、強制的に実行するような類のものではなく、ますます対立葛藤は激しくなるばかり。

泣き寝入りしているお父様方も多いかと思われますが、履行勧告(家事審判法15条の5)、間接強制(例えば、不履行1回につき○万円)(家事審判法15条・21条但)、慰謝料請求等、全く成す術がないわけではありません。

ただ、それが認められる根拠としては、上記の通りその親の愛情であるかと思われます。


よって、まずはすべてを手続きに頼ることなく、親子の愛情交流が深められるより現実的な手段を一緒になって考えていきましょう。ご両親の間に入り、面接交渉の場を設け、何とか子供との愛情交流の場をご提供できればいいなと願っております。

養育費

離婚後もその両親は、親権者であるかどうかに関わらず、子を扶養する義務を負っています(民法877条1項)。その程度は、両親と同程度の生活レベルを保障する生活保持義務であると言われています。

そして、その算定方法として、東京・大阪養育費等研究会により「簡易迅速な養育費の算定を目指して―養育費・婚姻費用の算定方法と算定表の提案」 養育費算定グラフ 判タ1111号285頁 が公表され、以後実務ではほとんどその算定表に基づき養育費が決められているのが現状です。


また、その支払いが滞るようになってしまった場合、請求する手段としては、履行勧告(家事審判法15条の5)、給与差押え(民事執行法152条の2)等が認められています。


しかしながら、それを実現していくには、しっかりとした内容でその金額の取り決めがあることが前提であり、離婚協議書、離婚調停事項の取り決めをしていく場合に、その履行を手続き上確保できるよう最大限の配慮が必要です。その点、契約手続きの専門家として責任のあるアドバイスを差し上げたいと思います。


さらには、算定表に基づいた「養育費月々○万円」という取り決めだけで、その子供にとって本当に親と同程度の生活が保障されるのでしょうか。両親の家業の経済情勢、住宅ローンの支払い、病気、不慮の事故、亡くなってしまった場合の生命保険金、学校の授業料の負担等、一律に決められることによってどちらかに著しく不公平となる場合は多々考えられます。


よって、離婚協議の際に、事細かに取り決めておくことも必要かも知れませんし、一生涯続く親子関係ですので、その後も柔軟に対処できるよう離婚した夫婦なりの協調関係を保って頂くことも必要です。少しでもその支えになれるよう努めて参ります。

財産分与

結婚生活をスタートさせた夫婦は、生活を支えあい、共有の財産を築いていきます。よって、離婚を迎えたときそれを清算する必要があります。それを財産分与といいます(民法768条)。

今の社会においては、夫が主になって仕事をし、妻は家事をしてそれを支え、その収入は夫の名前で蓄えていきますので、財産分与請求権利者は主に妻、義務者は夫になります。


これも、話し合い(協議)において解決していくのが基本ですが、婚姻中に築いてきた財産は2つに割る。それで解決できれば何も問題はありませんが、


  1. 婚姻期間中に築き上げたものかどうか
    「結婚前から所有する財産」、「相続・贈与によって親から譲り受けた財産」、「特別な事業(生計とは別に)によって蓄えられた財産」・・・これらは原則として財産分与の対象とはなりません。
  2. 借金がある場合はどうか
    負債も分与の対象になります。ただ、現実的に分与は難しい。
    夫が一生かけて背負っていかざるを得ないのが現状です。
  3. 離婚した直後に転がり込んできた生命保険金
  4. 将来受け取る予定退職金

など等、さまざまな事例を個別に検討することが必要となる場合が多いです。


そして、その財産分与の話し合い(協議)が整った後、それを実現していくために預金等の資産の受け渡し、名義変更、そして資産譲渡にかかる税金(譲渡所得税、登録免許税、不動産取得税、他)。さまざまな問題を乗り越えて可能な限り最良の方法で実現していく、私たち司法書士はそれを最も得意としております。

慰謝料

一般的に慰謝料とは、故意過失による相手方の責任ある行為(有責行為)が、当事者の身体、自由、名誉等の利益を侵害したとき初めて認められるものです(民法709条不法行為責任)。

離婚の場合に置き換えるならば、相手方の有責行為(不倫・不貞行為)、暴行、虐待、不労、浪費、借金、宗教、異常性癖、夫婦生活の拒絶等いろいろな状況が考えられます。


しかし、これと全く性質が異なるところではありませんが、離婚の場合は相手方にこのような行為がたとえなくても、将来のパートナーシップ関係への期待が裏切られたことに対する慰謝料という性質も持っているようです。


そう考えると、「慰謝料を請求される覚えなどない。」としても、婚姻関係への期待、相手方の収入、社会的地位、財産の有無、未成熟子の有無等によって、数百万円の慰謝料を請求されている事例が多く見られるのもうなづけるでしょうか。


ご納得できないご主人様方、離婚を進められる前に一度ご相談下さい。